3Dカーソルの使い方
カテゴリー:Blender

Blenderの機能のひとつに「3Dカーソル」というものがあります。画像中赤で囲んだ赤と白の浮き輪みたいなのがそうです。3Dカーソルはモデリングで必ず使うツールではないかもしれませんが、使い方を覚えておくと何かと便利です。3Dカーソルは以下のような役割を果たします。
- 新規オブジェクト生成の基準点になる
- オブジェクトを移動する際のアンカーになる
- オブジェクトの原点を移動する際のアンカーになる
- オブジェクトを拡大縮小、回転させる際の中心点になる
これら3Dカーソルの機能を、簡単な人形を制作する過程を通して解説していこうと思います。
1.新規オブジェクト生成の基準点になる

「Shift+A」で新規作成をすると、3Dカーソルのある場所に任意のオブジェクトが生成されます。「モンキー」を選択するとBlenderのマスコットキャラクター「スザンヌ」さんが作成されます。
2.オブジェクトを移動する際のアンカーになる

Blenderを立ち上げると最初から設置されている立方体を分割して身体を作ってみました。現状では身体と頭の位置が合っていないので、身体オブジェクトの首のあたりにスザンヌの頭部を移動させたいと思います。目分量で移動させてもいいのですが、目的の場所にピタッと移動させたい時もありますよね?そういう時に3Dカーソルが活躍してくれます。

身体オブジェクトを選択し、編集モードに入ったら、首のセンター側の前後2箇所の頂点を選択し「shift+S」を押します。スナップメニューが現れるので「カーソル→選択物」を選ぶと先ほど選択した2箇所の頂点の中心に3Dカーソルを移動できます。

一旦オブジェクトモードに戻り、スザンヌ頭部を選択し「shift+S」から今度は「選択物→3Dカーソル」を選択します。

スザンヌ頭部が3Dカーソルの位置に移動します。ただ現状では身体オブジェクトの上にスザンヌ頭部が刺さっているだけの状態です。身体オブジェクトとスザンヌ頭部を1つのオブジェクトにしてみましょう。身体オブジェクトは右半分をミラーモデファイアでコピーしているので、スザンヌ頭部も左半分の面を削除し、右半分のみにします。

「shift」を押しながらスザンヌ頭部→身体オブジェクトの順に選択し「control+J」を押すと頭部オブジェクトが身体オブジェクトに結合し、1つのメッシュになります。最後に選択したオブジェクトに結合されるので、選択する順序を間違えないようにしましょう。

編集モードにしてみると、1つのオブジェクトになっている事がわかります。ただし身体の上に頭部を乗せただけなので、首のメッシュに頭部のメッシュがめり込んでしまっています。

首の3面と頭部の下の面を削除します。頭部がやや後ろに寄っているので、頭部全体を選択して位置を調節します。

このように1つのオブジェクトでも、メッシュが分断されている場合、1つの面を選択後に「L」キーを押すと繋がった面が全て選択されるので楽です。同様に目も選択して位置を調整します。

後頭部側の首の付け根の辺と身体側の首の付け根の辺を選択し「F」キーを押すと面を貼る事ができます。

同様にして側面、前面も面を貼り頭部と身体を繋ぎます。これで完全に1つの繋がったメッシュになりました。
3.オブジェクトの原点を移動する際のアンカーになる

折角なのでスザンヌさんの目もオリジナルで作ってみます。元々あった目のメッシュを削除して、まぶたの輪郭を選択します。「alt」キーを押しながら右クリックで繋がった辺を一度に選択する事ができます。次に「shift+A」「カーソル→選択物」でまぶたの中心に3Dカーソルを移動させます。

目は別オブジェクトで作成したいので、編集モードからオブジェクトモードにします。「shift+A」から「UV球」を選択すると、球体がまぶたの中に作成されます。右目もミラー反転で作成したいので、ミラーモデファイアを追加してみます。あれ?反転されませんね。これは左目オブジェクトの原点が球の中心にあるため、同じ位置にミラーコピーされているのが原因です。球の中心のオレンジの丸が眼球オブジェクトの原点です。

左目オブジェクトをミラー反転させて右目を作成するためには、左右のちょうど中心であるX=0の地点に原点を移動させる必要があります。「N」キーを押してプロパティ・シェルフを出し、下にスクロールしていくと「3Dカーソル」の欄に現在の3DカーソルのXYZ座標の位置が表示されています。現在の3Dカーソルの位置はちょうど眼球オブジェクトの中心にあるので、このXの値を0にすれば原点を移動させたい位置に3Dカーソルを移動できます。

3DカーソルをX=0の位置に移動させたら「オブジェクト→トランスフォーム→原点を3Dカーソルに移動」を選択します。

眼球の原点がX軸の中心に移動し、左右対称に眼球がミラー反転されました。このようにオブジェクトの原点を3Dカーソルの位置に移動させる事でミラーモデファイアのかかり方や、回転の軸を変えたりする事ができます。
4.オブジェクトを拡大縮小、回転させる際の中心点になる

3Dカーソルはメッシュ編集やオブジェクト移動の際の中心点としても機能させる事ができます。試しにスザンヌ人形の手の角度を、脇を中心に回転させてみます。脇の前後2つの頂点を選択し「shift+S」から「カーソル→選択物」で3Dカーソルを脇の辺の中心に移動させます。

腕全体のメッシュを選択したら、画面下メニューの「ピポットポイント」を「中点」から「3Dカーソル」に変更させます。

「R」キーを押してマウスを動かすと、脇の3Dカーソルを中心軸として回転する事がわかります。
以上が自分が知っている範囲の3Dカーソルの使い方です。3Dカーソルは上手く使えばモデリングの時間短縮や、正確なモデリングの助けになってくれる機能だと思います。どんどん使っていきましょう。あ、ピポットポイントを「3Dカーソル」に変更して編集した後は「中点」に戻しておくのを忘れると、どの点や面を選択している時も3Dカーソルを基準に回転や拡大縮小されてしまうので、注意しましょう。
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